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厚生労働相所感
平成31年度厚生労働大臣年頭所感

 

 

厚生労働大臣 根本 匠

 

 

 

 

 

(はじめに)
平成31年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。 厚生労働大臣に就任してから約3ヶ月が経過しました。この間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すべく努力してまいりました。引き続き、私自身が常に先頭に立ち、厚生労働省一体となって様々な課題に全力で取り組んでまいります。

(2040年を展望した社会保障・働き方改革)
本年10月の消費税率の引上げ及び社会保障の充実によって、2025年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が一区切りとなります。今後は、団塊ジュニア世代が高齢者となり、現役世代の減少が進む2040年頃を見据え、全ての世代が安心できる社会保障制度の構築に向けて取り組みます。

このため、昨年10月に、私が本部長となって、「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を厚生労働省内に設置したところであり、今後国民誰もが、より長く、元気に活躍できるよう、高齢者をはじめとした多様な就労・社会参加の促進、就労や社会参加の前提となる健康寿命の延伸、労働力の制約が強まる中での医療・福祉サービス改革による生産性の向上などの検討を着実に進めていきます。 まず、働く意欲のある高齢者がその能力を十分に発揮できるようにするため、70歳までの雇用と就業機会の確保について、しっかりと検討を進めてまいります。 あわせて、働く方々の主体的なキャリア形成や再チャレンジが可能な社会としていくため、中途採用の拡大に取り組んでまいります。 年金制度については、本年に実施する財政検証とその結果を踏まえた制度改正に向け、受給開始時期の選択肢の拡大や短時間労働者への被用者保険の適用拡大、私的年金の充実など、人生百年時代の到来や国民の多様な働き方に対応した年金制度を構築するべく検討を進めてまいります。年金事業運営については、引き続き、事務の適切な実施に努めてまいります。

(健康寿命の延伸等)
健康寿命の延伸等を目指し、予防・健康づくりを推進していくことが重要です。「健康日本21(第二次)」に基づき、健康無関心層を含めた疾病の発症予防や重症化予防に向けた取組を進めるとともに、保険者による特定健診・保健指導や糖尿病の重症化予防などの取組について、インセンティブも活用しながら進めます。さらに、認知症予防を加えた認知症施策を進めるとともに、介護予防・フレイル対策と生活習慣病等の疾病予防・重症化予防が市町村において一体的に実施されるよう取組を進めます。 また、医療・福祉分野において、労働力の制約が強まる中で、専門人材が能力を最大限発揮することができるよう、人材の確保にも取り組みつつ、効率的な業務分担の見直しや効率的な配置の推進、AI・ロボット・ICT等のテクノロジーの徹底活用や組織マネジメント改革等を進めます。 こうした国民の健康寿命の延伸や医療・介護サービスの生産性の向上を図るため、健康・医療・介護に関するデータ利活用基盤の構築を軸に、被保険者の予防・健康づくりなど保険者が果たすべき役割の強化やゲノム医療・AI等の最先端技術の活用など、データヘルス改革を戦略的・一体的に推進します。また、医療と介護のレセプト情報等のデータベースの連携、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施、審査支払機関の改革については、こうした取組を進めるための改正法案の提出を目指します。 さらに、本年10月の消費税率引上げに伴い、診療報酬等の改定を行うとともに、税制上の措置の創設を目指します。

(障害者雇用)
障害のある方も含めて、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会を創り上げることは重要です。昨年は、多数の国の行政機関において障害者の法定雇用率を満たしていない状況にあったことが明らかとなりました。民間の事業主に対し率先して障害者を雇用すべき立場にありながら、このような事態に至ったことは誠に遺憾です。障害者雇用施策を推進する立場として、こうした事態を重く受け止め、関係閣僚会議でとりまとめた「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、組織全体として再発防止にしっかり取り組むことはもとより、法定雇用率の速やかな達成と障害者の活躍の場の拡大に向け、政府一体となって取り組んでまいります。あわせて、公務部門及び民間企業における障害者雇用の一層の促進を図るための改正法案の提出を目指します。

(各地の災害への対応、東日本大震災への対応等)
昨年の夏は、豪雨被害や地震による被害が多く発生しました。全国各地で相次ぐ自然災害からの一日も早い復旧・復興に向けて、関係省庁とも連携しつつ、スピード感を持って全力で取り組みます。また、前臨時国会で成立した平成30年度第一次補正予算に基づき、医療施設の災害復旧等の取組を推進します。 さらに、先般の地震等では、老朽化した水道管が多数破損し長期間の断水が発生しました。前臨時国会で成立した改正水道法に基づき、広域連携、水道事業者の適切な資産管理、多様な官民連携の推進により、老朽化した水道施設の更新・耐震化といった水道事業の基盤強化に取り組みます。 東日本大震災の発生からもうすぐ8年が経過します。私はかねてより被災地の復興に取り組んでまいりましたが、引き続き、私自身も復興大臣であるとの強い意識の下、被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備、雇用対策などに全力で取り組みます。 また、前通常国会で成立した改正食品衛生法に基づき、広域的な食中毒の発生時における国と自治体間の連携強化等を着実に進めます。 さらに、昨年6月に施行された改正旅館業法に基づき、いわゆる「違法民泊」の取締り対策を推進してまいります。

(子ども子育て)
待機児童の解消に向けて、「子育て安心プラン」に基づき、2020年度末までに32万人分の保育の受け皿を整備するとともに、そのために必要な保育人材の確保や処遇改善等を更に進めます。 放課後児童対策についても、待機児童の解消等に向けて、「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、2023年度末までに30万人の受け皿整備をしっかりと行ってまいります。 幼児教育・保育の無償化について、本年10月からの実施を目指して関係省庁とも緊密に連携した上で検討を進めるとともに、その質の確保についても検討を進めます。 妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する「子育て世代包括支援センター」の全国展開、産婦健診や産後ケアの充実、不妊治療への支援等にも取り組みます。

児童虐待の防止については、痛ましい虐待事件が二度と繰り返されることのないよう、昨年七月に関係閣僚会議で決定した「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の更なる徹底を図ります。また、子どもの命を守る社会づくりを進める観点から、昨年末に策定した「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に基づき児童相談所と市町村の体制強化を図るとともに、児童虐待に関する相談支援体制の強化等を図るための改正法案の提出を目指します。 虐待などの事情により、親元で暮らせない子どもたちも、温かい家庭的な環境で育まれるようにする必要があります。里親のなり手を増やすため、里親制度の広報啓発や里親家庭に対する相談・援助体制の充実に努めます。また、児童養護施設等の小規模・地域分散化や職員配置基準の強化などを推進してまいります。 子どもの貧困対策については、特に厳しい経済状況にあるひとり親家庭の支援を充実します。児童扶養手当について、本年11月から、年6回の支払を着実に実施するほか、就職に有利な資格の取得支援等に取り組みます。

(働き方改革関連法の施行等)

前通常国会で成立した働き方改革関連法については、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を着実に推進すべく、関係省令等の整備や制度の周知など、円滑な施行に取り組みます。具体的には、これらの取組の内容が地方の中小企業まで浸透するよう、47都道府県に設置した「働き方改革推進支援センター」の活用や、経済界と協力した説明会の開催など、丁寧な周知を行ってまいります。

働き方改革の実現・定着に向けて、IT化や業務効率化など生産性向上に取り組む中小企業に対する支援などについて、しっかり取り組みます。また、長時間労働の事業場への監督指導の徹底等の対応を行います。 医師の働き方改革については、医師の健康を守りつつ、地域の医療提供体制が維持できる働き方の実現を目指して検討を行っており、本年3月を目途として、時間外労働規制の具体的な在り方や労働時間の短縮策等についての結論をとりまとめます。 また、全ての人材がその能力を存分に発揮できる社会や個々人の人生の再設計が可能となる社会を実現するため、リカレント教育をはじめとした人材育成の強化、女性・若者・高齢者・障害者等の就労支援等を実施します。

女性の職業生活における活躍を推進するとともに、働きやすい職場環境を整備するため、女性活躍推進法の施行後3年の見直し、パワーハラスメント・セクシュアルハラスメントの防止対策の強化等について、労働政策審議会の建議を踏まえ、改正法案の提出を目指します。

前臨時国会で成立した改正出入国管理法に基づく一定の専門性・技能を有する新たな外国人材の受入れについては、厚生労働省としては、本年4月の施行に向けて、労働条件・安全衛生等に関する雇用管理の改善、適切な社会保険の適用促進、安心・安全に医療機関を受診できる環境の整備などに取り組み、外国人材がその能力を有効に発揮できる環境を整備してまいります。

最低賃金については、「働き方改革実行計画」等において、年率3%程度を目途として引上げ、全国加重平均千円を目指すとされています。昨年度は全国加重平均で26円引き上げ、時給換算になった平成14年度以降、最大の上げ幅となりました。中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備するため、生産性向上のための支援を進めます。 また、2023年の技能五輪国際大会の我が国への招致を通じた技能尊重機運の醸成に取り組むとともに、我が国産業の基盤である、ものづくり技能の一層の向上に努めます。

(医薬品・医療機器、がん対策、受動喫煙対策等)
医薬品・医療機器産業については、革新的な医薬品等の開発を促進する環境の整備に取り組むとともに、後発医薬品の使用促進やベンチャー企業への支援を実施します。また、医薬品等の品質・有効性・安全性の確保、かかりつけ薬剤師・薬局の推進を図るとともに、これらに関する制度の見直しのための改正法案の提出を目指します。

さらに、「第5次薬物乱用防止5か年戦略」に基づき、覚醒剤や大麻等の取締りや啓発等に取り組みます。 受動喫煙対策については、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて対策を徹底することが必要です。このため、前通常国会で成立した改正健康増進法の円滑な施行に向けた準備等を進め、望まない受動喫煙のない社会の実現を目指します。 がん対策については、「第3期がん対策推進基本計画」に基づき、がんゲノム医療の提供体制の実現、思春期世代や若年成人世代のがん対策、治療と仕事の両立支援、地域での相談支援体制の充実等を推進します。

昨年7月以降、風しんの患者数が増加しています。昨年は、患者数が多い地域において妊娠を希望する女性の方などに風しんの抗体検査及び予防接種を受けていただくよう環境整備を行ってまいりました。今後は、追加的対策として、抗体保有率の低い世代の男性に対して、抗体検査を原則無料で受けていただいた上で、3年間原則無料で定期接種の実施を行うなど、さらなる環境の整備に取り組んでまいります。 国際保健の分野においても、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、薬剤耐性菌を含む感染症対策等のグローバルな課題に的確に対応します。

(G20関係閣僚会合)
本年、我が国はG20の議長国となります。厚生労働分野においても、9月には愛媛県松山市においてG20労働雇用大臣会合を開催し、10月には岡山県岡山市においてG20保健大臣会合を開催する予定です。開催地の地方自治体と一体となって全力を挙げて取り組み、国際社会に貢献してまいります。

(援護施策)
援護施策については、戦没者遺骨収集推進法に基づき、国の責務として、可能な限り多くの御遺骨を収容し、御遺族に引き渡すことができるよう、全力を尽くします。また、慰霊事業に着実に取り組むとともに、戦傷病者や戦没者遺族に対する年金等の支給、中国残留邦人等に対する支援策について、引き続き、きめ細かく実施します。

(生活困窮者の支援等)
生活困窮者自立支援制度については、生活保護に至る前の自立支援を強化するため、家計相談支援事業、就労準備支援事業を推進するとともに、生活保護制度については、必要とする人には確実に保護を実施するという基本的な考えの下、医療扶助の更なる適正化や就労支援や大学等への進学を支援するなど、自立支援に向けた改正法案の提出を目指します。さらに、生活保護基準については、検証を踏まえた見直しを行います。

(年金制度)
年金制度については、持続可能性を高め、将来にわたる給付水準の確保を図ると同時に、国民一人ひとりに制度の意義や役割を理解していただくことが重要です。短時間労働者への被用者保険の更なる適用拡大や、高齢期における多様な職業生活に対応した年金制度の在り方等についての検討、次期財政検証に向けた準備を進めます。年金積立金の管理・運用を担う年金積立金管理運用独立行政法人の体制強化等についても、引き続き着実に進めます。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)の一層の周知広報を図るとともに、簡易企業型年金制度の創設等により、高齢期の自助努力を支援します。
年金事業運営については、日本年金機構改革を着実に実施し、事務処理誤り等の総点検で把握した事項を確実に改善するとともに、国民年金保険料の収納対策、厚生年金保険の適用促進、情報セキュリティ対策等に着実に取り組みます。

(援護施策)
援護施策については、国の責務として、戦没者の遺骨収集事業の推進を図るとともに、慰霊事業に着実に取り組みます。
また、戦傷病者、戦没者遺族、中国残留邦人等に対する支援策について、引き続き、きめ細かく実施します。


 以上、厚生労働行政には多くの課題が山積しています。国民の皆様には、一層の御理解と御協
力をお願い申し上げ、年頭にあたっての私の挨拶といたします。

平成30年元旦




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